パーキンソン病とは、脳内のドパミンという神経伝達物質が不足して情報の伝達が上手くいかなくなり、運動障害などが起こる病気です。 発見者のジェームズ・パーキンソンにちなんで、パーキンソン病とつけられました。 パーキンソン病の多くは50歳代後半から70歳でくらいで男女の差はなく発症して、様々な症状が現れて、徐々に進行していきます。 パーキンソン病の症状で特徴的なのが、「四大症状」といわれるものです。 手足が震える「振戦」、筋肉が固くなる「固縮」、動きが遅くなる「動作緩慢」、姿勢を保つ事が難しくなり、転びやすくなる「姿勢保持障害」です。 また、歩き始めの1歩がなかなか踏み出せない「すくみ足」や、「小刻みな歩行」「すり足」などもパーキンソン病の症状です。...
パーキンソン病の原因は、まだ十分に解明されていませんが、ドパミンが減少するために発症するものということはわかっています。 神経伝達物質は、神経細胞間の情報伝達を担う化学物質で、神経細胞の先端から放出され、次の神経細胞の受容体に結合することで、情報が伝わっていきます。 中脳の「黒質(こくしつ)」と呼ばれる部位でつくられたドパミンは、大脳にある「線条体(せんじょうたい)」に送られます。 運動機能に関する情報伝達を線条体は担っていて、黒質から送られるドパミンが減少すると、線条体の神経細胞の働きも低下します。 すると、運動にかかわる情報伝達が正常に行なわれなくなり、パーキンソン病の症状である、様々な運動障害が起こってくるのです。...
パーキンソン病は原因がはっきりとわかっていないため、基本の治療は薬物療法で、「L-ドーパ製剤」や「ドパミンアゴニスト」など、ドパミンの不足を補う薬を中心に、パーキンソン病の症状の改善を目的に行なわれます。 パーキンソン病の早期では、まずドパミンアゴニストを使用し、それだけでは症状が十分に改善しない場合に、L-ドーパ製剤を少しずつ併用していくのが基本のパーキンソン病の薬物療法です。 ただし、患者さんの年齢が70?75歳以降の場合で、認知症を合併している時は、L-ドーパ製剤で治療を開始します。 それでパーキンソン病の症状が十分に改善しなかったら、ドパミンアゴニストを併用します。 そのほか、補助的に他の薬を併用し、様々な症状を軽減させる場合もあります。 薬物療法以外のパーキンソン病の治療法は、脳の深部に電極を埋め込み刺激を加える「深部脳刺激慮法」があります。 パーキンソン病の症状に応じて、歩行練習などのリハビリテーションや、カウンセリングや精神療法を行なったりする場合もあります。...
パーキンソン病の薬物療法では、6種類の薬が主に使用されています。 その中でも基本となる薬が「L-ドーパ製剤」と「ドパミンアゴニスト」です。 それぞれの効果と副作用は次の通りです。 『L-ドーパ製剤』 パーキンソン病の症状全般の改善に最も高い効果があり、効果が速やかに現れるドパミンを補充する薬です。 L-ドーパは、脳の中に入ると、脳内の「ドパ脱炭酸酵素」の働きでドパミンに変わり不足を補います。 副作用は、吐き気・嘔吐・食欲低下・不随意運動・幻覚・妄想・興奮といった精神症状です。 『ドパミンアゴニスト』 L-ドーパ製剤には及ばないものの、パーキンソン病の症状全般を改善する効果があり、長く続けても作用時間が短くなる事はありません。副作用も比較的軽いのですが、L-ドーパ製剤に比べると、効果が現れるまでには時間がかかります。 ドパミンアゴニストは、ドパミン受容体に結合してドパミンに変わって作用する薬です。 麦角系と非麦角系の2つの系統があります。 麦角系では、吐き気・嘔吐など消化器系の副作用が出やすく、長く使用していると心臓の弁の障害が起こることもあるので、定期的な心臓の検査が必要になります。 非麦角系では、眠気が起こることがあります。 どちらも長期間使用していると、幻覚・妄想・興奮などが現れことがあります。...
パーキンソン病の治療薬の基本になるL-ドーパ製剤やドパミンアゴニストと、併用する形で使用されるのが残りの4種類です。 『ドパミン分泌促進薬』 歩行障害や動作緩慢が、L-ドーパ製剤やドパミンアゴニストで十分に改善できない場合に併用される薬で、パーキンソン病のごく初期で、症状の軽い歩行障害や動作緩慢だけの人に使用されることもあります。 幻覚が現れる副作用があるので、認知症のある人は使用を避けたほうが良いでしょう。 『モノアミン酸化酵素B阻害薬』 モノアミン酸化酵素B阻害薬は、L-ドーパ製剤の長期使用で薬が効いている時間が短くなってきた時に併用する形で使用されます。 モノアミン酸化酵素の働きを抑えて、脳内でのドパミンの分解を遅らせる薬です。 副作用として、幻覚や不随意運動などが現れることがあります。 『ノルアドレナリン前駆物質』 パーキンソン病を発症後に、脳内の「ノルアドレナリン」という神経伝達物質が時間が経つにつれて減少し、すくみ足などの症状が出ることがあります。 ノルアドレナリン前駆物質は、L-ドーパ製剤を長期間使用した後に出てくる、こうしたすくみ足の改善に用いられ、脳内のノルアドレナリン不足を補う薬です。 幻覚や食欲低下が副作用として現れることがあります。 『抗コリン薬』 通常、震えが強く、L-ドーパ製剤やドパミンアゴニストでは改善できない場合に併用される薬で、アセチルコリンが受容体に結合するのを妨げ、振戦や固縮などを改善します。 アセチルコリンとは、ドパミンが減ると、線条体が過剰に分泌する神経伝達物質で、これが増えるとバランスが崩れて運動機能が上手く働かなくなります。 パーキンソン病の初期で、症状が震えだけの人に使われる場合もありますが、偶角の狭い緑内障の人には使えません。 副作用として、幻覚・妄想・興奮・食欲低下・腹部不快感などが現れることがあります。...